【法人所有】不動産を法人で所有するメリット4選!【個人所有】

※この記事は2023年8月時点での情報です 

 

こんにちは!

株式会社レックの大友です!

 

不動産を所有するときに、所有者を個人と法人のどちらにするかは悩みどころです。

果たして、どちらがお得なのでしょうか?

 

個人所有のメリットに関しては以下の記事で解説しております!

 

✔この記事はこんなあなたにオススメ!
  • 不動産を所有している方、購入を検討している方
  • 不動産の所有に関する税制を理解したい方
  • 不動産を個人で所有しており、法人を設立するか迷っている方

所有者を個人にするか法人にするかだけで、〇百万レベルで収入が変わってくる場合もあります。

不動産投資に興味がある方、既に行っている方は必見の内容になっています!

結局どちらがお得なのか?

個人・法人でどちらがお得かという話ですが、基本的には法人所有の方がお得です。

法人の方が税制面で有利な点が多く、殆どの方は法人で所有した方が有利になります。

 

実際に比較していきましょう!

法人のメリット4選

前項では法人所有の方が税制面で有利なケースが多いと記載しましたが、具体的に何がどの程度有利なのでしょうか?

1.所得税・法人税

個人の場合(所得税)

所得税はご存じの通り、個人の所得に対してかかる税金です。

こちらは、会社の給料などの個人で得た所得を合算した値に対して課税されます。

会社員の方は、給料+不動産所得で考えてもらってOKです。

後述しますが、こちらは賃料収入のケースであって売却収益の計算は所得税(譲渡所得)になるので注意が必要です。

課税所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超~330万円以下10%97,500円
330万円超~695万円以下20%427,500円
695万円超~900万円以下23%636,000円
900万円超~1800万円以下33%1,536,000円
1800万円超~4000万円以下40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円
参考:国税庁HP

 

法人の場合(法人税)

法人の場合は個人とは違い、所得金額にかかわらず税率は一定になっています。

課税所得金額税率
年800万円以下の部分15%
年800万円超の部分23.2%
参考:国税庁HP

 

上記2点だけで比較すると、課税所得が330万円以下or800万超~900万円の方に関しては個人で所有した方がお得ということになります。

しかし不動産投資を考えるのは高収入の方が殆どですので、課税所得が900万円を余裕で超えてくる場合が多いです。

また、将来的に投資額を増やしていくことを考えると、始めから法人を作って法人で所有した方がベターですね。

 

自分はどうなんだろう・・・と、当てはめながら読み進めましょう!

2.不動産譲渡税

個人の場合

個人が不動産を売却して所得を得た時は譲渡所得用の税率が適用されます。

譲渡所得の求め方

譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)

= 課税譲渡所得金額

譲渡所得用の税金には所得税の他に住民税も課されます。

また不動産の売却損益は他の給料等の収入との損益通算(利益と損失を相殺すること)ができません。

つまり、不動産を売却して損失が出た場合でも他の所得の税金を圧縮できないということです。

区分所得税住民税
短期譲渡所得
(所有期間5年以下)
30%9%
長期譲渡所得
(所有期間5年超)
15%5%
参考:国税庁HP

個人で不動産の売買をした場合は、表上段の短期譲渡所得の場合は39%、下段の長期譲渡所得の場合は合計20%の税金がかかることが分かります。

注意点

ここでいう所有期間ですが、単に買った日と売った日で求めるわけではありません。

国税庁HPには以下のように書いてあります。

土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。

 例えば、令和5年中に売った場合は、その土地や建物の取得が平成29年12月31日以前であれば「長期譲渡所得」に、平成30年1月1日以後であれば「短期譲渡所得」になります。

国税庁HP

上記の内容を図解すると以下のようになります。(伝われ)

短期売買と長期売買では19%もの税金差が出てくるので注意が必要です。

ちなみにマイホームの売却の場合は特例措置がありますので、国税庁HPを確認しましょう!

収益不動産の場合は控除などはないので必ず納付する必要があります。

 

法人の場合

法人の場合は個人と違って不動産を売ったときに譲渡税のようなものはかかりません。

あくまで、売却時に得た利益に対して法人税がかかるだけです。

従って前項の法人税と同様の税率になります。

課税所得金額税率
年800万円以下の部分15%
年800万円超の部分23.2%
参考:国税庁HP

しかし法人にも住民税のようなものがあり、今回はこちらも算入しなければ不公平です。

法人の住民税は均等割と法人税割の2つの方法で求めた合計額を収める必要があります。

不動産投資を行う一般的な法人(資本金1000万円以下・従業員50人以下・法人税額1000万円以下)の場合は以下の住民税が課されます。

均等割法人税割
50,000円(固定)6.0%
参考:札幌市HP

課税所得金額は800万超だと仮定して、上記2つを合計すると29.2%+50,000円になります。

 

 

以上の内容を踏まえると不動産を売却する際は、

 

個人(所有期間5年超) →   法人   → 個人(所有期間5年以下)

 

この順に税額が安くなります。

これだけを見ると、個人所有でもいいのでは?と思いますよね。

しかし、途中に記載しましたが個人だと所得の損益通算ができません。

 

大事なのでもう一回言います。損益通算ができません。

 

これはどういうことかというと、課税所得金額≒物件の売却利益になるということです。

一方法人だと売却で利益が出た場合、他の事業等で赤字が出た際に物件を売却することで課税所得金額を圧縮することができます。

売却で損失が出た場合、他の事業の黒字を圧縮して課税所得金額を圧縮することができます。

不動産投資をしていると、修繕や災害などのトラブルで大きな出費が出てしまうことがあります。

そういったタイミングで不動産を売却することで、税額を実質0に抑えることも不可能ではありません。

 

ぱっと見では個人に軍配が上がりそうでしたが、実際には法人の方が融通が利くため、売却する場合でも法人が有利である場合が多いことが分かりました。

 

法人を作る手間や費用を惜しんでいるのはもったいないです

3.退職金

個人の場合

個人の場合は退職も何もないので、退職金制度は利用できません。

法人の場合

勤めていた会社を辞める時にもらえる退職金ですが、自分で作った会社を退職するときにも受け取ることができます。

この退職金ですが、所得税と比べて税率がかなりお得になっています。

退職金の税額ですが一律20.42%になります。

いくら退職金をとっても20.42%です。

課税所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超~330万円以下10%97,500円
330万円超~695万円以下20%427,500円
695万円超~900万円以下23%636,000円
900万円超~1800万円以下33%1,536,000円
1800万円超~4000万円以下40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円
参考:国税庁HP

個人の所得税と比較してみると、695万円以上の退職金を取る場合は給与で取るよりもお得な税率であることが分かりますね。

したがって給与として大きな金額を法人から個人に渡すよりも、普段は給与を抑えめにして法人にお金を貯めておき、退職する際に退職金を多くとる方法が良いですね。

 

みんなが使っているテクニックです!

4.相続税

正直、相続税が一番個人と法人で差がつくのですが、該当する方が多くないため最後に持ってきました。

この章は少しややこしいので、まだ相続を考えるのは早いかなという方は読み飛ばしていただいてOKです!

個人の場合

まず相続税額を見ていきましょう。

※表一番左の基礎控除後取得金額とは、3,000万円+600万円×法定相続人の数を相続金額から引いたものになります。実際の相続額は+3,000万円だと思ってください。

基礎控除後取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円
参考:国税庁HP

正直私のような庶民には関係のない話ですが、資産家のあなたにとってはかなり痛い税金になってきますよね。

そもそも、現金を不動産に代えるだけで相続税評価額が約6割程度になります。

相続対策をお考えの方は不動産の購入を強くオススメします!

 

法人の場合

個人の場合の相続税は上記通りですが、法人の場合はどうなるのでしょうか。

基礎控除後取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円
参考:国税庁HP

 

さっきとどこが違うのでしょうか?

実はどちらも同じです。

相続財産は法人で受け取ることはありません。必ず個人で受け取ります。

おじいちゃんの財産をおばあちゃんが相続することはあっても株式会社〇〇が相続することはありませんよね。

したがって、相続税率は個人であっても法人であっても同じであると言えます。

ではどこで個人と法人の差が出てくるのでしょうか?

 

それは「相続額」です。

法人である場合は、配偶者を役員にして法人から給与を出すことができます。

個人の場合だと自分のものとして最終的に相続財産になっていたお金を、法人だと贈与税がかからない形で配偶者(相続人)に渡すことができます。

 

 

どうでしょうか、不動産は個人ではなく法人で持つべきだということがお分かりいただけたでしょうか。

それでは実際の物件に当てはめて見ていきましょう!

 

相続税対策で不動産を購入するのはあるあるですね。

個人・法人所有の具体例

1.所得税・法人税

条件

【個人】

  • 不動産以外課税所得:1,000万円
  • 不動産課税所得:300万円

 

【法人】

  • 不動産以外課税所得:1,000万円
  • 不動産課税所得:300万円

 

個人の場合(所得税)

上記の条件だと、個人の課税所得の合計は1,000万円+300万円=1,300万円。

下の表だと税率33%になりますね。

1,300万円×33%=429万円

課税所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超~330万円以下10%97,500円
330万円超~695万円以下20%427,500円
695万円超~900万円以下23%636,000円
900万円超~1800万円以下33%1,536,000円
1800万円超~4000万円以下40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円
参考:国税庁HP

 

法人の場合(法人税)

法人の場合も課税所得額は1,000万円+300万円=1,300万円と個人と同じです。

税額は、800万円×15%+500万円×23.2%=236万円

課税所得金額税率
年800万円以下の部分15%
年800万円超の部分23.2%
参考:国税庁HP

 

個人の税額は429万円、法人の税額は236万円だったので約190万円も法人の方がお得という結果になりました。

 

サラリーマン大家さんも法人を作りましょう!

2.不動産譲渡税

条件

【個人】

  • 課税譲渡所得金額:1,000万円
  • その他課税所得:-1,000万円

 

【法人】

  • 売却課税所得:1,000万円
  • その他課税所得:-1,000万円

 

個人の場合

課税譲渡所得金額に以下の数字を掛け合わせて求めます。

その他課税所得は-1,000万円ですが、損益通算ができないため課税譲渡所得金額をそのまま使用します。

区分所得税住民税
短期譲渡所得
(所有期間5年以下)
30%9%
長期譲渡所得
(所有期間5年超)
15%5%
参考:国税庁HP

【短期譲渡所得】

1,000万円×39%=390万円

【長期譲渡所得】

1,000万円×20%=200万円

 

法人の場合

建物の売却所得金額と他の事業の所得金額を合わせて計算します。

したがって、1,000万円-1,000万円=0円

課税所得金額税率
年800万円以下の部分15%
年800万円超の部分23.2%
参考:国税庁HP
均等割法人税割
50,000円(固定)6.0%
参考:札幌市HP

 

以上2つの税金がかかりますが、課税所得が0円の為法人税はかかりません。

法人の場合は0円です。

 

 

個人短期の場合は390万円、個人長期の場合は200万円、法人の場合は0円の為200万円~390万円の差がつきました。

 

390万円って、普通の人の年収くらいのインパクトあります。

3.退職金

不動産でしか収入がなく、不動産による年間課税所得が1,000万円の場合を見ていきましょう。

条件

【個人】

  • 年間課税所得:1,000万円
  • 期間:20年

 

【法人】

  • 年間課税所得(法人からの給与):500万円
  • 期間:20年
  • 退職金:1億円

※この条件だと法人税がかかるんじゃないの?と頭の良い方は思われたと思いますが、法人税は他の事業でコントロールが可能であり、分かりやすくするために今回は割愛しております。

 

個人の場合

年間1,000万円×20年なので合計2億円の課税所得があったことになります。

1,000万円は下の表を見てみると33%の税率です。

よって20年間で払った税額の合計は、1,000万円×33%×20年=6,600万円

課税所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超~330万円以下10%97,500円
330万円超~695万円以下20%427,500円
695万円超~900万円以下23%636,000円
900万円超~1800万円以下33%1,536,000円
1800万円超~4000万円以下40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円
参考:国税庁HP

 

法人の場合

年間500万円×20年+1億円なので、合計2億円の課税所得があったことになります。

この場合は法人から個人に出している給与額ですので、法人税ではなく個人の所得税で計算します。

下の表に当てはめると、20%のゾーンにいますので20年間の合計所得税額は

500万円×20%×20年=2,000万円

課税所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超~330万円以下10%97,500円
330万円超~695万円以下20%427,500円
695万円超~900万円以下23%636,000円
900万円超~1800万円以下33%1,536,000円
1800万円超~4000万円以下40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円
参考:国税庁HP

 

退職金を1億円取っていますが、退職金も無税ではありません。

退職金の税額ですが一律20.42%でしたね。

したがって、1億円×20.42%≒2,000万円

法人の税額の合計は

2,000万円+2,000万円=4,000万円

 

個人と法人の差は6,600万円-4,000万円=2,400万円にもなってしまいました。

 

退職金ってお得なんですが、いつ税法の改正があってもおかしくない状態です

ちなみに

今回求めた個人と法人の税額の合計は約3,000万円にもなります。

3,000万円あれば家を買えちゃいますし、海外旅行なんか何回でも行けちゃいますよね。

不動産を個人ではなく法人で所有し、その法人を上手に活用してあげるだけでこんなにお得になるなんて夢の様ですよね。

 

※今回は簡単に、分かりやすくするために難しい単語の簡易化や細かい税金の省略を行っています。

実際の言葉・計算とは異なる部分がある為ご理解の程よろしくお願いします。

あくまで考え方の一つとして法人での所有をおすすめしている記事になります。

実際に不動産を購入されるさいは税理士さんへ相談してください。

 

日本は今後も増税傾向が続く見込みです。

まとめ

今回は不動産を法人で所有したときのメリット4選をご紹介しました。

なかなか難しい内容だったと思いますが、いかがだったでしょうか?

 

不動産は法人で所有した方が有利な点が多いことが分かって頂けたかと思います。

減価償却など勉強されている方は、個人で持った方が良いケースもあることが分かっていただけるかと思いますが、個人所有がお得なケースはまた今度記事を書いていきますので少々お待ちください。

 

減価償却については以下の記事で解説しております。

 

一発で理解できたとしたらあなたは天才、3週目で理解できたあなたも相当な秀才です。

不動産投資を行おうという方は必ず理解しておかなければいけない内容ですので、分かるまで何周もしてくださいネ。

 

個人所有のメリットに関しては以下の記事で解説しております!

 

難しい内容でしたが、知ってるか知らないかだけで〇〇〇〇万円の差がつく内容です。

株式会社レックでは、不動産投資の無料相談を行っております。

不動産のプロの目線で色々アドバイスをさせていただきます。

是非あなたのお手伝いをさせてください!