不動産事件簿④【節税・年金・生命保険】

✔この記事はこんなあなたにオススメ!
  • 近々不動産屋に何かを相談する予定がある方
  • 不動産屋に騙されたかもと思っている方
  • 今後のために不動産に関する悪徳事例を知っておきたい方

こんにちは!

株式会社レックの大友です!

 

前回に引き続き、悪徳不動産屋を相手にした時の実例を3つ紹介いたします。

この記事を見れば、もし悪徳不動産屋に出会っても大丈夫。

あなたを守ってくれるような記事の内容になっています。

この記事はシリーズになっていますが、それぞれ独立したお話になっていますので、①・②・③を読まなくても楽しむことができます。

ただ、すべてのシリーズを読んでいただくと、不動産屋の悪事が網羅できるようになっていますので、他の事件簿も併せてお読みください。

不動産投資の営業あるあるを紹介します。

今回に関しては、全て自分で計算してみることで騙されなくても済みますので、数字関係は必ず自分で計算を!

 

CASE1:節税になる

確定申告のサインが付いたタイプライターのクローズアップ

事件簿【節税になる】

毎月100万円以上の収入がある弁護士のAさん。

不動産投資が節税になると聞いて、不動産屋に行ってみました。

 

Aさん

✕✕不動産さん、毎月払う税金が高すぎて困っています。

不動産を利用して節税する方法を教えてください。

✕✕不動産

Aさん、それならこの物件はどうだい?

物件自体の収支は年間マイナス200万円だけど、減価償却で年間1,000万円以上の赤字ができるから年間300万円くらい税金が還付されるね。

差し引きで100万円お得になるよ。

Aさん

年間100万円も!?

豪遊できちゃいますね!買います!

 

Aさんは築30年の木造アパートを購入して、年間100万円お得に暮らしていました。

そして5年後・・・

 

✕✕不動産

Aさん、何かありましたか?

Aさん

5年目から節税効果がなくなって、年間で200万円現金が出ていくだけの物件になったんだけど、どうしてくれるの!!

✕✕不動産

減価償却は期限がありますので、当たり前です。

償却が終わる前にさっさとうっぱらって、別の物件を買うのが良いです。

クソ物件を口車に乗せられて購入してしまったAさん。

結局、物件を売却しますが、そもそも相場よりも高く売りつけられていたために、買った金額よりもだいぶ低い金額で売却する羽目に。

4年間でお得になった400万円も、償却で簿価が0になった不動産の売却利益にかかる税金でほとんどトントンになってしまいました。

Aさん、この物件を買ったことで、約600万円の損をしてしまいましたとさ。


 

不動産での所得税の節税は基本的に減価償却を利用したものになりますが、これはあくまで税金の「繰り延べ」に過ぎません。

売却時には償却した分にかかる税金を払う必要があるところに注意が必要です。

 

対処法
  • 運営会社の創業年・実績など、信用に足る会社かどうか十分にリサーチする
  • 新しく出てきた投資商品には手を出さない
  • 不自然な高利回り商品には必ず裏があることを忘れない

 

税金の繰り延べとは

イメージが湧きづらいと思うので、具体例で説明します。

イメージをつかみやすくするために、細かい部分は省略して説明しますね。

条件
  • 1,000万円で購入
  • 10年で償却(年間100万円)

購入してから10年間、償却で赤字にすることができますね。

100万円 × 10年間 = 1,000万円

 

毎年、簿価が償却分下がっていきますので、10年後以降の簿価は0になります。

例えば、10年後に800万円で売却したとすると、800万円の利益になります。

800万円 - 0 =800万円 

 

つまり、1,000万円分節税したつもりが、実は200万円分しか節税にはなっていないということになります。

仮に税率を30%とすると、60万円分節税できたことになりますが、購入価格と売却価格の差が200万円もあるため、結局140万円損しています。

直近で節税をしたいから不動産を買うのは、基本的には損をするので、イマイチな物件を節税のためだけに購入するのはやめましょう!

 

よくわからずに、悪徳不動産屋の節税の言葉に騙されないように注意!

CASE2:年金代わりになる

事件簿【年金代わりになる】

Aさんは40代前半のサラリーマン。

昨今のニュースで、自分は年金があまりもらえないのではないかと、将来に不安を覚えています。

Aさん

年金がもらえない可能性があるだなんて、20年後の自分はどうなってしまっているんだろう。。。

不安だぁ。。。

✕✕不動産

Aさん、そんなあなたには不動産投資がピッタリ!

20年後にはローン返済も終わって、賃料収入だけで月に30万円はもらえますよ

Aさん

なんて最高なんだ不動産投資。。。

 

Aさんは築20年の4階建てRCを20年ローンで購入し、苦労をしながらも何とか毎月返済して行きました。

そして20年後。

 

Aさん

やっとローンの返済が終わったぞ。

私も60台に突入したけど、この調子なら一生安泰だな。

物件が古くなってきたからか、最近空室は目立つがまあ大丈夫だろう。

 

30年後

Aさん

1,000万円の大規模な修繕が必要、、!?

そんな金はどこにもないぞ・・・。

最近は賃料収入もあまりないというのに、、、

✕✕不動産

Aさん、修繕するお金がないのであれば、お持ちの物件の土地値から建物の解体費を引いた値段なら売却できるよ。

土地値が4,000万円で、解体費が3,500万円だから売値は500万円だね。

加えて、もろもろ諸費用が500万円かかることになるけどいい?

Aさん

そ、そんなあ。。。

 

結局、売却するしかなかったAさんは、マンションを売却しても一円も手残りがなく、アテにしていた家賃収入もなくなってしまいました。

Aさんはまだ70代前半。

まだまだ体はピンピンしていますが、これからの生活費が大変です。。

 


 

今回のケースはまだ優しい方です。

「年金代わり」などという言葉に騙される人に買わせる物件はロクでもないものしかありません。

実際は月々のキャッシュフローはマイナス・ローン支払いが終わるころには売却も難しい物件を紹介されます。

加えて、あなたは20年後、30年後の日本がどうなっているかを想像できるでしょうか?

人口は8,000万人まで減り、賃貸住宅の需要は下がる一方です。

地方の市町村に物件を買ってしまい、まったく周りに人がいなくなんてこともあり得るわけです。 

 

不動産投資のうまみは、月々のキャッシュフローが増える点です。

それ以外の言葉で営業されたときは、注意したほうが良いかもしれませんね。

 

対処法
  • 20年後・30年後に自分の物件がどのような状況になっているかを想像する

 

 

これはかなりそれっぽい理由なので、騙されている方は多いです。。。

CASE3:生命保険代わりになる

白い表面に黒と銀の聴診器

事件簿【生命保険代わりになる】

Aさんは結婚して子供ができましたが、シングルマザーの映画を見て、自分が死んだ後のことがふと心配になりました。

そんなAさんが✕✕不動産に相談しに行った時のこと。。

✕✕不動産

Aさん、不動産には団体信用生命保険(以下、団信)というものがあってね、Aさんがもし死んじゃっても、保険会社が代わりにローン残債を払ってくれるんだ。

嫁子供に、ローンを残さずに不動産をいう資産をまるまる残してあげられるよ。

Aさん

そうなんですか!

生命保険は損って聞いたことあるから、あまり入りたくなかったけど不動産ならいいかも!

✕✕不動産

生命保険だと、保険料が必要だけど、不動産投資は生きている間もむしろ収入が入るからね。

Aさんは早速物件を購入し、晴れて不動産投資家になりました。

しかし15年後、Aさんがなくなってしまった時のこと。。

 

A妻

夫がなくなって残念だけど、不動産を残してくれたから安心だわね。

ってあれ、現金が全然ないけど、今後の生活どうしようかしら!?

✕✕不動産

A妻さん、その物件は再開発不可物件といって、売却がなかなか難しいよ。

残念だけど、相続税は不動産の売却なしで払うしかないね。

A妻

え!!そんなこと夫は言ってなかったわよ!?

売却できないなんて、明日のご飯はどうしたらいいのよ!!

 

 


 

不動産は現金化が簡単な資産ではありません。(流動化リスクが高い)

資産を不動産で残すと、相続税対策になったりもしますが、よほどのお金持ち以外はそこまで相続税はかかりません。(3,000万円は最低でも控除されます)

もらう側としても、不動産は管理の問題や空室リスクがあるため、結局現金でもらうのがうれしいものです。

相続対策をする場合は、信頼のおける不動産屋に相談するか、FPなどの商品をもたない専門家に相談することをお勧めします。(ほとんどのFPは保険を取り扱っていますが)

 

対処法
  • 資産がそこまで多くないなら全て現金で残す
  • 節税するにしても、信頼のおけるプロに必ず相談する

 

不動産投資は、資金に余裕のある方がやるべき投資だと考えています。

ボロ戸建て投資は別ですが!

まとめ

今回は不動産事件簿④ということで、実際に起こっている不動産の事件を3つご紹介しました。

伝統的ではない投資方法の恐ろしさが少しわかっていただけたかと思います。

 

不動産はマイホームにせよ、投資用にせよ、〇千万単位でお金が動くので、失敗すると取り返しがつかなくなります。

そして、もし失敗してしまったとしても、あまりにも被害が大きすぎて、友達などに笑い話で話せるレベルではありません。

そうして噂も広がらずに、悪徳不動産屋は生き残ったりするわけです。

 

今回のケースは不動産会社がよく使う文句を解説したものになります。

全てが間違っているわけではなく、一部は正しいものなのですが、お得になるかどうかはかなり微妙だと思います。

不動産投資を検討するときは、月々のキャッシュフローがプラスになること、売却予定日までの入居がかなりの確率で見込めることのみを考えると良いでしょう。

今回のような、他の位置づけは二の次です

  

改めて、世の中には悪徳不動産屋が数多くおり、不動産屋の半分以上がなにかしらの裏を持っているといっても過言ではありません。

賃貸であればまだよいのですが、売買の場合は相手の不動産屋が本当に信頼できるのかをじっくりと見極める必要があります。

もし自分では判断できないときは、必ず友人などの他の人に相談しましょう。

あなたの近くに不動産屋の友人がいるのであれば、その人に相談するのが一番です。

あなたの不動産ライフが嫌な思い出にならないよう、祈っております。

 

悪徳不動産屋は基本的にすぐに潰れるため、創業から年数が5年以上経過していればある程度信じてよいかもしれません。

不動産屋に掲示してある宅建の免許には「石狩(5)」などの数字が書いてあり、この数字が2以上であれば比較的安心です。

ただ、数字が大きいからと言って安心してはだめで、必ず自分で数字周りは調査・計算するようにしましょう!