【個人所有】不動産を個人で所有するメリット3選!【法人所有】

※この記事は2023年8月時点での情報です

こんにちは!

株式会社レックの大友です!

 

不動産を所有するときに、所有者を個人と法人のどちらにするかは悩みどころです。

多くの方は法人で所有した方が有利な場合が多いですが、個人所有が有利なパターンもあります。

この記事ではどういった場合であれば個人所有がお得なのかを解説しています。

 

法人のメリットに関しては以下の記事で解説しておりますので、併せてご覧ください。

 

✔この記事はこんなあなたにオススメ!
  • 不動産を所有している方、購入を検討している方
  • 不動産の所有に関する税制を理解したい方
  • 不動産を個人で所有しており、法人を設立するか迷っている方

所有者を個人にするか法人にするかだけで、〇〇〇万レベルで収入が変わってくる場合もあります。

不動産投資に興味がある方、既に行っている方は必見の内容になっています!

個人所有のメリット3選

1.不動産譲渡税

 

個人の場合

個人が不動産を売却して所得を得た時は譲渡所得用の税率が適用されます。

譲渡所得の求め方

譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)

= 課税譲渡所得金額

譲渡所得用の税金には所得税の他に住民税も課されます。

また不動産の売却損益は他の給料等の収入との損益通算(利益と損失を相殺すること)ができません。

つまり、不動産を売却して損失が出た場合でも他の所得の税金を圧縮できないということです。

区分所得税住民税
短期譲渡所得
(所有期間5年以下)
30%9%
長期譲渡所得
(所有期間5年超)
15%5%
参考:国税庁HP

個人で不動産の売買をした場合は、表上段の短期譲渡所得の場合は39%、下段の長期譲渡所得の場合は合計20%の税金がかかることが分かります。

注意点

ここでいう所有期間ですが、単に買った日と売った日で求めるわけではありません。

国税庁HPには以下のように書いてあります。

土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。

 例えば、令和5年中に売った場合は、その土地や建物の取得が平成29年12月31日以前であれば「長期譲渡所得」に、平成30年1月1日以後であれば「短期譲渡所得」になります。

国税庁HP

上記の内容を図解すると以下のようになります。(伝われ)

短期売買と長期売買では19%もの税金差が出てくるので注意が必要です。

ちなみにマイホームの売却の場合は特例措置がありますので、国税庁HPを確認しましょう!

収益不動産の場合は控除などはないので必ず納付する必要があります。

 

法人の場合

法人の場合は個人と違って不動産を売ったときに譲渡税のようなものはかかりません。

あくまで、売却時に得た利益に対して法人税がかかるだけです。

従って前項の法人税と同様の税率になります。

課税所得金額税率
年800万円以下の部分15%
年800万円超の部分23.2%
参考:国税庁HP

しかし法人にも住民税のようなものがあり、今回はこちらも算入しなければ不公平です。

法人の住民税は均等割と法人税割の2つの方法で求めた合計額を収める必要があります。

不動産投資を行う一般的な法人(資本金1000万円以下・従業員50人以下・法人税額1000万円以下)の場合は以下の住民税が課されます。

均等割法人税割
50,000円(固定)6.0%
参考:札幌市HP

課税所得金額は800万超だと仮定して、上記2つを合計すると29.2%+50,000円になります。

 

 

以上の内容を踏まえると不動産を売却する際は、

個人(所有期間5年超) →   法人   → 個人(所有期間5年以下)

この順に税額が安くなります。

 

所有期間が5年を超えるであろう不動産を所有する場合、またその不動産を売却する場合は個人で所有した方が売却時の税金はお得になります。

しかしちらっと触れましたが、個人の場合は売却益を損失と通算できないため注意が必要です。

 

個人の場合は、所有期間に注意して売却しましょう。

2.所得税・法人税

個人の場合(所得税)

所得税はご存じの通り、個人の所得に対してかかる税金です。

こちらは、会社の給料などの個人で得た所得を合算した値に対して課税されます。

会社員の方は、給料+不動産所得で考えてもらってOKです。

後述しますが、こちらは賃料収入のケースであって売却収益の計算は所得税(譲渡所得)になるので注意が必要です。

課税所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超~330万円以下10%97,500円
330万円超~695万円以下20%427,500円
695万円超~900万円以下23%636,000円
900万円超~1800万円以下33%1,536,000円
1800万円超~4000万円以下40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円
参考:国税庁HP

 

法人の場合(法人税)

法人の場合は個人とは違い、所得金額にかかわらず税率は一定になっています。

課税所得金額税率
年800万円以下の部分15%
年800万円超の部分23.2%
参考:国税庁HP

 

上記2点だけで比較すると、課税所得が330万円以下or800万超~900万円の方に関しては個人で所有した方がお得ということになります。

例えば、仕事を引退されて収入は不動産のみ、かつ課税所得が330万円以下といった方は法人ではなく個人で所有した方がお得になります。

 

かなり限られた範囲です・・・

3.法人設立・維持費用

個人の場合

法人を設立しないため、設立費用・維持費用はかかりません

 

法人の場合

会社を設立する際の費用はどういう種類の会社を作るかによって違います。

会社には1)株式会社と2)合同会社の2種類があります。

詳細な説明は省きますが、合同会社の方が設立・維持費用が安いが、信用は低く資金を調達しづらい特徴があります。

最初に法人を設立する際は合同会社で良いと思いますが、事業規模が大きくなってきた場合は株式会社への変更を検討しましょう。

それでは、それぞれについて説明します。

1)株式会社の場合

設立費用で約250,000円ほどかかります。

株式会社の設立費用内訳
  • 定款費用ー70,000円
  • 登記費用ー150,000円
  • その他費用ー30,000円
  • 資本金ー1円~

また、維持費用も約350,000円かかってきます。

(事務所の維持費に関しては、自宅で行う場合はかからないので割愛しています)

株式会社の維持費用内訳
  • 法人税(住民税均等割)ー50,000円
  • 税理士費用ー300,000円

2)合同会社の場合

設立費用で約110,000円かかります。

合同会社設立費用内訳
  • 定款費用ー40,000円
  • 登記費用ー60,000円
  • その他費用ー10,000円
  • 資本金ー1円~

また、維持費用も株式会社と同様に約350,000円かかってきます。

(事務所の維持費に関しては、自宅で行う場合はかからないので割愛しています)

株式会社の維持費用内訳
  • 法人税(住民税均等割)ー50,000円
  • 税理士費用ー300,000円

 

このように、会社の設立には約100,000円~250,000円、維持に年間約350,000円かかってきますが個人の場合はこの費用が掛からないのでメリットがありますね!

 

この金額と、年間の税金の差を比べてみましょう!

個人・法人所有の具体例

1.不動産譲渡税

条件

【個人】

  • 課税譲渡所得金額:5,000万円
  • 所有期間:10年

 

【法人】

  • 売却課税所得:5,000万円
  • 所有期間:10年

 

個人の場合

課税譲渡所得金額に以下の数字を掛け合わせて求めます。

今回は10年間所有していますので、長期譲渡所得に当たり20%の税率になります。

5,000万円×20%=1,000万円

区分所得税住民税
短期譲渡所得
(所有期間5年以下)
30%9%
長期譲渡所得
(所有期間5年超)
15%5%
参考:国税庁HP

 

法人の場合

法人の場合は以下の税率で法人税が課されます。

800万円×15%+4200万円×23.2%≒1,100万円

課税所得金額税率
年800万円以下の部分15%
年800万円超の部分23.2%
参考:国税庁HP

 

また法人にも住民税のようなものがあり、以下の税率で課税されます。

50,000円+1100万円(法人税額)×6%=71万

均等割法人税割
50,000円(固定)6.0%
参考:札幌市HP

法人が払う税金の合計は1,100万円+71万円=1,171万円

今回のケースだと、1,171万円-1,100万円=71万円個人の方がお得ですね。

建物の金額が高ければ高いほど、個人の方が税金が安くなります。

逆に言うと、800万円以下の部分は法人の方が税金が安いので長期で所有予定だからといって必ずしも個人がお得というわけではありません。

 

ややこしい計算ですね・・・

2.所得税・法人税

条件

【個人】

  • 不動産以外課税所得:0円
  • 不動産課税所得:300万円

 

【法人】

  • 不動産以外課税所得:0円
  • 不動産課税所得:300万円

個人の場合(所得税)

上記の条件だと、個人の課税所得は300万円。

下の表だと税率10%になりますね。

300万円×10%=30万円

課税所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超~330万円以下10%97,500円
330万円超~695万円以下20%427,500円
695万円超~900万円以下23%636,000円
900万円超~1800万円以下33%1,536,000円
1800万円超~4000万円以下40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円
参考:国税庁HP

 

法人の場合(法人税)

法人の場合も課税所得額は300万円と個人と同じです。

税額は、300万円×15%=45万円

課税所得金額税率
年800万円以下の部分15%
年800万円超の部分23.2%
参考:国税庁HP

 

個人の税額は30万円、法人の税額は45万円だったので約15万円、個人の方がお得という結果になりました。

 

年間課税所得300万円ということは、月間25万円です。

4~6戸程度の小規模アパートのイメージですね!

3.法人の設立・維持費用

上に記載ありますが改めて説明します。

個人の場合

法人を設立しないため、設立費用・維持費用はかかりません

法人の場合

1)株式会社の場合

設立費用で約250,000円ほどかかります。

株式会社の設立費用内訳
  • 定款費用ー70,000円
  • 登記費用ー150,000円
  • その他費用ー30,000円
  • 資本金ー1円~

また、維持費用も約350,000円かかってきます。

(事務所の維持費に関しては、自宅で行う場合はかからないので割愛しています)

株式会社の維持費用内訳
  • 法人税(住民税均等割)ー50,000円
  • 税理士費用ー300,000円

2)合同会社の場合

設立費用で約110,000円かかります。

合同会社設立費用内訳
  • 定款費用ー40,000円
  • 登記費用ー60,000円
  • その他費用ー10,000円
  • 資本金ー1円~

また、維持費用も株式会社と同様に約350,000円かかってきます。

(事務所の維持費に関しては、自宅で行う場合はかからないので割愛しています)

株式会社の維持費用内訳
  • 法人税(住民税均等割)ー50,000円
  • 税理士費用ー300,000円

 

このように、会社の設立には約100,000円~250,000円、維持に年間約350,000円かかってきます。

 

この金額を高いと思うか、安いと思うかはあなた次第です!

ちなみに

今回求めた個人と法人の税額の合計は100万円以上になります。

法人の記事を読まれた方だとお分かりいただけると思いますが、不動産を個人で所有するメリットの大きさは法人で所有したときの大きさと大きく違います。(法人の方では3,000万円程法人の方が節税できていました)

平均以上の収入がある方や、上手に課税所得を抑えられる方は法人を設立した方が良いです。

上記に当てはまらない方も、融資が付きやすかったりするので法人を設立した方が不動産投資がスムーズにいく可能性が高いです。

とはいえ、法人設立には手間もかかりますしいきなりはちょっと、、、という方は個人で初めて途中から法人化することも可能です。

 

法人のメリットは以下の記事で解説しています。

 

私は法人と個人の両方で不動産を所有しています。

まとめ

今回は不動産を個人で所有したときのメリット3選をご紹介しました。

なかなか難しい内容だったと思いますが、いかがだったでしょうか?

個人所有のメリット3選は以下の通りです。

 

一発で理解できたとしたらあなたは天才、3週目で理解できたあなたも相当な秀才です。

不動産投資を行おうという方は必ず理解しておかなければいけない内容ですので、分かるまで何周もしてくださいネ。

 

法人のメリットに関しては以下の記事で解説しておりますので、併せてご覧ください。

 

難しい内容でしたが、知ってるか知らないかだけで何百万円の差がつく内容です。

株式会社レックでは、不動産投資の無料相談を行っております。

不動産のプロの目線で色々アドバイスをさせていただきます。

是非あなたのお手伝いをさせてください!